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【事業主の方必見】40万円未満の設備を一括経費計上可能に!

【2026年改正】40万円未満の設備を一括で経費計上できる?

「今期は予想以上に利益が出そう」
「決算前に設備を購入して、少しでも税負担を抑えたい」

このように考える法人経営者や個人事業主の方は少なくありません。

事業に必要な設備を購入し、その費用を適切に経費計上することは、ルールに沿った節税対策のひとつです。

しかし、決算前だからといって、単にお金を使えばすべて経費になるわけではありません。購入した物の種類や金額、実際に使用を開始した時期によっては、今期の経費にできなかったり、数年かけて減価償却しなければならなかったりすることがあります。

そこで注目したいのが、令和8年度税制改正によって拡充された
「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
です。

一定の要件を満たす中小企業者や個人事業主は、令和8年4月1日以後に取得等する
取得価額40万円未満の事業用資産
について、事業で使用を開始した年度に、取得価額の全額を損金または必要経費へ算入できる可能性があります。

この記事でわかること

  • 40万円未満の資産を一括経費にできる特例の概要
  • 決算前に購入しても今期の経費にならない支出
  • 特例を利用するために必要な条件
  • 決算前に検討しやすい事業用設備の例
  • 節税のための設備購入で注意したいポイント

まず押さえたい結論

令和8年4月1日以後に取得等する資産については、一定の中小企業者等が
1点当たり40万円未満、年間合計300万円まで
の範囲で、一括して損金または必要経費へ算入できる可能性があります。

ただし、購入や支払いを済ませるだけではなく、
その年度中に実際に事業で使用を開始すること
が重要です。

決算前の「とりあえずお金を使う」は節税にならないこともある

決算前になると、利益を減らすために設備や商品を購入しようと考えることがあります。

ただし、次のような支出は、決算前に支払いを済ませたとしても、その年度に全額を経費計上できるとは限りません。

1.売る予定の商品や材料を大量に仕入れる

決算前に商品や材料を大量購入しても、期末時点で売れずに残っているものは、原則として
「棚卸資産」
として翌期へ繰り越されます。

つまり、仕入代金の支払いを済ませていても、残っている在庫の全額が今期の経費になるわけではありません。

「決算前に仕入れを増やせば、その分だけ利益を減らせる」と考えて、不要な在庫を抱え込まないよう注意しましょう。

2.翌期分の広告費やサービス料金を前払いする

翌期に掲載される広告の料金や、翌期に提供を受けるサービスの料金を先に支払っても、原則として支払った年度の経費にはなりません。

まだサービスの提供を受けていない場合は、経費ではなく
「前払費用」
などの資産として処理される可能性があります。

税務上は、支払日だけではなく、
実際にいつ商品やサービスの提供を受けたのか
が重要になります。

3.決算直前に自動車などの高額資産を購入する

自動車や高額な設備などの固定資産は、通常、購入金額を法定耐用年数に応じて分割して経費計上します。

決算直前に納車や納品が完了した場合でも、一般的には事業で使用した期間に応じた減価償却費しか、その年度の経費にできません。

そのため、決算間際に高額な自動車や設備を購入しても、想定していたほど大きな節税効果が得られないことがあります。

少額減価償却資産の特例とは?

パソコンや業務用機器、事務用品など、長期間使用する資産は、原則として購入した年度に全額を経費計上するのではなく、耐用年数に応じて少しずつ減価償却します。

ただし、青色申告書を提出する一定の中小企業者等については、
少額減価償却資産の特例
を利用できる場合があります。

令和8年度税制改正では、令和8年4月1日以後に取得等する資産について、対象となる取得価額の基準が
従来の30万円未満から40万円未満へ引き上げ
られました。

適用期限も3年間延長され、現在は
令和11年3月31日まで
とされています。

特例の主な内容

確認項目 主な内容
取得価額 1点当たり40万円未満
年間上限 1事業年度当たり合計300万円まで
主な対象者 青色申告書を提出する一定の中小企業者等・個人事業主
対象時期 令和8年4月1日以後に取得等する資産
適用期限 令和11年3月31日まで
使用開始 対象年度中に実際に事業の用に供する必要がある

対象者には細かな要件があります

法人の場合は、資本金、株主構成、常時使用する従業員数などによって対象外となる場合があります。令和8年4月1日以後に取得等する資産については、原則として常時使用する従業員数が400人を超える法人は対象外です。実際の適用可否は、税理士または税務署へご確認ください。

「40万円以下」ではなく「40万円未満」に注意

金額の判定で特に注意したいのが、対象となるのは
40万円未満
の資産だという点です。

したがって、取得価額がちょうど40万円の資産は、この特例の対象にはなりません。

39万9,999円以下は金額要件を満たす可能性がありますが、40万円ちょうどの資産は対象外です。

また、取得価額は本体価格だけで判断するとは限りません。購入手数料、送料、設置費用など、その資産を事業で使用できる状態にするために直接必要となった費用を含めて判断することがあります。

商品の表示価格だけを見て「40万円未満だから対象になる」と判断せず、請求書や契約内容、設置工事費なども含めて確認しましょう。

決算日までに「実際に使い始める」必要がある

この特例で特に間違えやすいのが、購入時期と使用開始時期です。

決算日までに注文や支払いを済ませただけでは、対象年度の損金または必要経費として認められない可能性があります。

原則として、決算日までに商品が納品され、
実際に事業で使用できる状態になっていること
が必要です。

次のような状態は注意が必要です

  • 注文と支払いは済んでいるが、まだ納品されていない
  • 納品済みだが、箱から出さずに保管している
  • 初期設定や設置工事が終わっていない
  • 翌期から使用する予定で倉庫に置いている
  • 事業用途が決まっておらず、実際には使用していない

例えば、決算日前にパソコンを購入した場合は、納品後に初期設定を行い、業務用ソフトを導入するなど、実際に業務で使用を開始したことがわかる状態にしておくことが大切です。

40万円未満の枠で検討しやすい事業投資

対象額が40万円未満へ広がったことで、これまで一括計上しにくかった、やや高性能な設備も検討しやすくなりました。

ただし、経費にできるのは、あくまで
事業に必要な資産
です。

1.パソコン・PC周辺機器

高性能なデスクトップパソコンやノートパソコンは、業種や仕様によって30万円を超えることがあります。

特に、次のような業務を行う事業者にとって、高性能なパソコンは生産性の向上に直結しやすい設備です。

  • 動画編集
  • Webサイトや広告物の制作
  • CAD・設計業務
  • データ分析
  • AIツールの活用
  • 大容量データの処理

モニターや周辺機器については、それぞれが独立して使用できるのか、一体として機能する設備なのかによって、取得価額の判定単位が変わる可能性があります。

特例を利用するためだけに、不自然に分割して処理することは避けましょう。

2.事業用のスマートフォン・タブレット

高性能なスマートフォンやタブレットは、営業活動、顧客対応、撮影、資料作成、オンライン会議など、幅広い業務に使用できます。

法人名義または事業用として購入し、主に事業目的で使用するのであれば、対象資産として検討できる場合があります。

個人利用と事業利用が混在する場合は、事業との関連性や使用実態を説明できるようにしておくことが重要です。

3.高機能なオフィスチェア・デスク

長時間のデスクワークが多い会社では、作業環境の改善も有効な事業投資です。

姿勢を調整できる高機能チェアや昇降式デスクを導入することで、従業員や経営者の身体的な負担を軽減し、業務効率の向上につながる可能性があります。

単なる私物やぜいたく品ではなく、使用場所、使用者、業務内容などを明確に説明できることがポイントです。

4.業務用エアコン・空調設備

オフィス、店舗、事業所の環境改善を目的として、高性能なエアコンや空調機器を導入するケースも考えられます。

省エネ性能の高い機器であれば、電気料金の削減や、従業員・来店客の快適性向上にもつながります。

ただし、設置工事の内容によっては、機器単体ではなく
建物附属設備
として扱われる可能性があります。

本体価格だけで判断せず、設置費用や工事内容を含めて会計処理を確認しましょう。

5.カメラ・マイク・照明などの撮影機材

動画広告、SNS、YouTube、採用動画、商品撮影などに取り組む会社では、カメラ、マイク、照明機材なども有効な設備投資です。

外注していた撮影や編集の一部を社内で行えるようになれば、長期的なコスト削減につながる可能性もあります。

一方、代表者や従業員の趣味で使用することが中心であれば、事業用資産として認められない可能性があります。

撮影した広告、商品画像、採用動画など、業務で使用した実績も残しておくとよいでしょう。

一括経費にできても「購入額が戻ってくる」わけではない

少額減価償却資産の特例を利用すると、その年度の利益を圧縮し、法人税や所得税などの負担を抑えられる可能性があります。

ただし、設備の購入代金そのものが戻ってくるわけではありません。

例えば、35万円のパソコンを購入すれば、会社や事業用口座から35万円の現金が出ていきます。

その35万円を経費計上することで税負担は軽くなる可能性がありますが、
35万円全額が節税額になるわけではありません。

「税金を払うくらいなら何か買う」は危険です

節税効果を得るために不要な物を購入すると、軽減される税額以上の現金を失うことになります。設備購入は、節税額だけでなく、購入後の売上増加、生産性向上、コスト削減まで含めて判断しましょう。

赤字の年度は、一括経費が有利とは限らない

少額減価償却資産の特例は、要件を満たせば必ず使わなければならない制度ではありません。

すでに赤字となっている年度では、さらに経費を増やしても、その年度の税負担を減らす効果が生じないことがあります。

通常の減価償却を選択し、将来の黒字年度に経費を残したほうが、結果的に有利になる場合もあります。

次のような要素を確認したうえで、一括計上するか、通常の減価償却にするかを判断しましょう。

  • 今期の利益または赤字の見込み
  • 繰越欠損金の状況
  • 翌期以降の収益予測
  • 設備購入後の手元資金
  • 納税資金や運転資金への影響

特例を利用する前のチェックリスト

決算前に設備を購入する場合は、少なくとも次の点を確認しましょう。

  • 青色申告書を提出しているか
  • 自社または自身が対象となる中小企業者等に該当するか
  • 令和8年4月1日以後に取得等した資産か
  • 1点当たりの取得価額が40万円未満か
  • 年間合計300万円の上限を超えていないか
  • 本当に事業で必要な設備か
  • 決算日までに納品されるか
  • 決算日までに実際に使用を開始できるか
  • 契約書、請求書、領収書、振込記録を保存しているか
  • 法人税申告時に必要な別表や適用額明細書を添付できるか
  • 一括計上が今期の経営状況にとって本当に有利か

個人事業主の場合は、青色申告決算書の「減価償却費の計算」の摘要欄へ所定の記載を行います。法人の場合は、法人税の確定申告書に所定の別表と適用額明細書を添付する必要があります。

まとめ

令和8年度税制改正により、少額減価償却資産の特例の対象額は、令和8年4月1日以後に取得等する資産について、
30万円未満から40万円未満へ引き上げ
されました。

これにより、一定の中小企業者や個人事業主は、パソコン、スマートフォン、撮影機材、オフィス設備など、事業に必要な資産を購入した年度に、一括で経費計上しやすくなっています。

ただし、重要なのは、節税のためだけにお金を使うことではありません。

  1. 本当に事業に必要な設備を選ぶ
  2. 取得価額と年間上限を確認する
  3. 決算日までに納品と使用開始を済ませる
  4. 請求書や使用実績などの証拠を残す
  5. 設備購入後も十分な運転資金を残す

一括経費にできるからといって、不要な物を購入し、手元の現金を減らしてしまっては本末転倒です。

税金を減らすためだけの支出ではなく、会社の生産性や売上を高めるための事業投資として活用すること。

それが、少額減価償却資産の特例を賢く利用するための最も重要な考え方です。

注意:
本記事は制度の一般的な内容を紹介するものであり、個別の税務判断を保証するものではありません。取得価額の判定単位、対象者要件、消費税の処理、使用開始時期などは個別事情によって異なります。実際の申告や設備購入前には、税理士または所轄税務署へご確認ください。

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