
2026年04月22日
フリーランス(個人事業主)向け|初めての助成金申請ガイド
フリーランスや個人事業主として仕事をしていると、設備投資やIT導入、販路開拓、スタッフ採用など、事業を広げるタイミングで「少しでも負担を軽くできる制度はないか」と考える方も多いのではないでしょうか。
そんなときに知っておきたいのが、国や自治体が用意している助成金・補助金制度です。特に初めて申請する方にとっては、「自分も対象になるのか」「何を準備すればいいのか」「どんな場合に対象外になるのか」がわかりにくいものです。
実際には、個人事業主でも利用できる制度はあります。ただし、フリーランスの場合は、従業員を雇っているかどうかで使える制度が大きく変わります。
ポイント
ひとりで活動しているフリーランスは「補助金」のほうが使いやすい傾向があり、スタッフを雇用している個人事業主は「助成金」の選択肢も広がります。
フリーランスが知っておきたい「助成金」と「補助金」の違い
まず押さえておきたいのが、似ているようで性質が異なるこの2つです。
助成金
主に厚生労働省系の制度が中心で、雇用・労務・職場環境の整備に関するものが多いのが特徴です。
たとえば、非正規雇用の方を正社員化したり、賃金を引き上げたり、高年齢者の雇用環境を整備したりする場合に活用できる制度があります。
補助金
経済産業省系や自治体の制度が多く、販路開拓・IT導入・設備導入・創業支援など、事業成長に向けた取り組みを支援するものが中心です。
フリーランス・個人事業主にとっては、従業員がいない場合は助成金より補助金のほうが使いやすいケースが多い、というのが実務上のポイントです。
個人事業主がチェックしたい主な制度の種類
ここでは、初めて申請を考える方が押さえておきたい代表的な制度を紹介します。
1.キャリアアップ助成金
有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者など、いわゆる非正規雇用の労働者について、正社員化や処遇改善に取り組んだ事業主を支援する制度です。
「アルバイトや契約社員を正社員化したい」「賃金規定を見直して待遇を改善したい」といった個人事業主には有力な選択肢です。
2.業務改善助成金
設備投資やコンサル導入、人材育成などによって生産性向上を図りつつ、事業場内最低賃金を引き上げた場合に、その費用の一部が助成される制度です。
ただし、従業員がいない場合は対象外となるため、ひとりで活動しているフリーランスには使いにくい制度です。
3.両立支援等助成金
仕事と家庭の両立を支援するための制度で、育児や介護と仕事の両立支援に取り組む事業主向けの助成金です。
従業員を雇っていて、育休や介護支援などの体制整備を進める個人事業主なら、確認しておきたい制度です。
4.65歳超雇用推進助成金
高年齢者が働き続けられる環境整備を行う事業主向けの制度です。
65歳以上への定年引上げ、雇用管理制度の整備、高年齢の有期契約労働者の無期雇用転換などに取り組む場合に活用が検討できます。
5.小規模事業者持続化補助金
これは厳密には助成金ではなく補助金ですが、フリーランス・個人事業主にとって非常に身近な制度です。
ホームページ制作、チラシ、広告、展示会出展など、販路開拓に関する取り組みを考えている方には特に相性が良いでしょう。
6.IT導入・デジタル化関連補助金
会計ソフト、受発注システム、顧客管理、レジ、業務効率化ツールなど、IT・デジタル導入を考えている個人事業主に向いている制度です。
日々の業務を効率化したい方や、バックオフィス業務の負担を減らしたい方におすすめです。
初めての申請で押さえたい基本的な流れ
1.自分の事業が対象か確認する
最初に確認すべきなのは、「個人事業主でも申請できるか」ではなく、「その制度が何を目的にした制度か」です。
雇用関係助成金は従業員の雇用や労務管理が前提になっているものが多く、ひとりで事業をしているフリーランスには合わない場合があります。反対に、販路開拓やIT導入の補助金は、個人事業主でも利用しやすい制度です。
2.公募要領・支給要件を読む
「使えそう」と思っても、対象経費、申請期限、必要書類、事前準備、申請後の報告義務などは制度ごとに異なります。
初めての申請では、制度の説明を最後までしっかり確認することが重要です。
3.電子申請の準備を行う
近年は、行政の電子申請が増えています。制度によっては、GビズIDなどのアカウント取得が必要になることもあります。
申請直前に慌てないよう、事前にログイン環境や必要情報を整えておきましょう。
4.必要書類をそろえる
制度によって異なりますが、一般的には次のような書類が必要になります。
- 開業届の控え
- 確定申告書の控え
- 本人確認書類
- 振込先口座情報
- 見積書や発注予定資料
- 事業計画書・経営計画書
- 雇用関係がある制度では、労働条件通知書、就業規則、賃金台帳、出勤簿など
5.申請前に着手してよいか確認する
助成金・補助金の中には、申請前や交付決定前に購入・契約・発注をしてしまうと対象外になるものがあります。
「もう進めてしまったから申請しよう」では間に合わない場合もあるため、必ず先にルールを確認しましょう。
6.申請後の実績報告まで見据える
助成金・補助金は、申請して終わりではありません。交付決定後の実施、報告、証憑提出、効果報告などが求められる制度も多くあります。
申請前の時点で、「受け取るまでの流れ」を全体で把握しておくことが大切です。
申請前に準備しておきたいもの
1.事業の実態を示せる書類
個人事業主の場合は、「継続して事業を行っていること」を証明できる資料が重要です。開業届、確定申告書、請求書や売上台帳などを整理しておくと安心です。
2.何に使うのかを説明できる計画
「申請できるから出す」ではなく、なぜ必要なのか、導入後にどう売上や生産性向上につながるのかを説明できることが重要です。
3.見積書や比較資料
設備、広告、システムなどを導入する制度では、見積書が必要になることがあります。補助対象経費に該当するかどうかの確認にも役立ちます。
4.電子申請の環境
メール確認環境、PDFのアップロード、必要に応じた電子ファイル管理などを早めに整えておきましょう。
5.労務関係書類
雇用系助成金を検討する場合は、就業規則、雇用契約書、賃金台帳、出勤簿などが必要になりやすいため、日頃から整備しておくことが大切です。
対象外になりやすいフリーランス(個人事業主)の条件
従業員を雇っていない
雇用関係助成金の多くは、従業員の雇用や処遇改善が前提です。
そのため、ひとりで活動している完全な一人親方型フリーランスは、使える助成金がかなり限られると考えておくべきです。
労務管理や納付状況に問題がある
労働保険料の未納や、必要な労務管理ができていない場合などは、助成金の対象外になることがあります。
不正受給歴がある
過去に不正受給があった場合は、厳しく審査されるため注意が必要です。
制度の趣旨に合わない申請をしている
販路開拓向けの補助金なのに、実際には別の目的の支出を計上しているなど、制度の目的と申請内容がずれている場合は通りにくくなります。
申請前に購入・発注してしまう
制度によっては、申請前や交付決定前に着手してしまうと対象外になることがあります。初めての方ほど、先に契約・発注してしまわないよう注意が必要です。
注意
「個人事業主だから何でも申請できる」というわけではありません。
制度の目的・従業員の有無・申請タイミングを必ず確認してから進めましょう。
初めての申請で失敗しないためのコツ
助成金・補助金の申請で大切なのは、難しい文章を書くことではありません。
「制度の目的に合っているか」「要件を満たしているか」「証拠書類がそろっているか」の3点を丁寧に確認することです。
特にフリーランス・個人事業主の方は、「助成金」と聞くと何でも使えそうに見えますが、実際には従業員がいるかどうかで使える制度が大きく変わります。
一方で、販路開拓やIT導入の補助金は、個人事業主でも十分に活用しやすい制度です。まずは自分に合う制度を探すところから始めるのがよいでしょう。
まとめ
フリーランス(個人事業主)が初めて助成金申請を考えるときは、まず「自分は助成金向きか、補助金向きか」を見極めることが大切です。
- 従業員を雇っている個人事業主
雇用関係助成金の対象になる可能性があります。 - ひとりで事業をしているフリーランス
助成金は限られやすい一方、販路開拓やIT導入などの補助金は比較的検討しやすいです。
初めての申請では、要件確認、必要書類の準備、申請時期、着手時期の確認が重要です。
「自分では対象か判断しづらい」「どの制度を選べばよいかわからない」という場合は、制度ごとの要件をよく確認し、必要に応じて専門家へ相談しながら進めることで、申請ミスを防ぎやすくなります。
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